3分でわかる!減価償却(定率法)の計算方法




減価償却の定率法は想像以上にやっかい

固定資産の購入金額を経費にするときに用いるのが「減価償却」です。

青色確定申告で30万円以上の固定資産の場合、

  1. 定額法
  2. 定率法

の2通りの償却方法がありますよね。

前回、「定額法」を勉強してきましたが、今日はもう1つの「定率法」を掘り下げようではありませんか。

ぼく自身、60万円以上するMacBook Proを勢いで購入し、何も準備していなかったので「定額法」で処理しました。

しかし、今後の固定資産の購入に備え、定率法を整理しておきたかったのです。

 

 

減価償却(定率法)の計算式

ずばり、

$$(未償却残高)× (償却率) ×  \frac{使用月数}{12}$$

で減価償却費を求められます。

「未償却残高」とは【資産の購入金額】-【すでに償却した金額】のこと

 

ただし、この計算式を永遠に使えません。

減価償却費が「償却保証額」未満になるまで使えるのです。

 

減価償却費が「償却保証額」より小さくなったら、償却率の代わりに「改定償却率」を用います。

そして、計算式は次に変化します。

 

$$(未償却残高)× (改定償却率) ×  \frac{使用月数}{12}$$

 

いや、まじわけわかんないですね。

 

定率法でおさえるべきは、

  1. 償却率
  2. 償却保証額
  3. 改定償却率

の3つのキーワードなのです。

 

償却率

償却残高にかける「償却率」ですね。

大きいほど償却費が大きくなることを意味します。

 

じつは、定率法の償却率は、固定資産の耐用年数によって変化します

平成24年度4月1日以降の固定資産購入の場合、こちらの表を参考にしましょう。

耐用年数100年までデータが用意されていますが、100年耐える資産の購入予定はないので、10年前までのデータを抜粋してみました。

耐用年数
償却率
改定償却率
保証率
一・〇〇〇
―――――
―――――
〇・六六七
一・〇〇〇
〇・一一〇八九
〇・五〇〇
一・〇〇〇
〇・一二四九九
〇・四〇〇
〇・五〇〇
〇・一〇八〇〇
〇・三三三
〇・三三四
〇・〇九九一一
〇・二八六
〇・三三四
〇・〇八六八〇
〇・二五〇
〇・三三四
〇・〇七九〇九
〇・二二二
〇・二五〇
〇・〇七一二六
一〇
〇・二〇〇
〇・二五〇
〇・〇六五五二

別表第十 平成二十四年四月一日以後に取得をされた減価償却資産の定率法の償却率、改定償却率及び保証率の表

耐用年数10年なら償却率は0.200、耐用年数4年なら0.500になるわけです。

定額法の償却率よりも高いことが特徴的です。

つまり、定額法と比べると、初年度に多くの費用を経費にできるのですね。

 

償却保証額

さて、お次は「償却保証額」をみていきましょう。

償却保証額は次の式で求められます。

$$購入金額×保証率$$

償却保証額を求めるには「保証率」が必要ですね。

 

じつは、保証率も「固定資産の耐用年数」によって異なります。

先程の表を振り返ってみましょう。

耐用年数
償却率
改定償却率
保証率
一・〇〇〇
―――――
―――――
〇・六六七
一・〇〇〇
〇・一一〇八九
〇・五〇〇
一・〇〇〇
〇・一二四九九
〇・四〇〇
〇・五〇〇
〇・一〇八〇〇
〇・三三三
〇・三三四
〇・〇九九一一
〇・二八六
〇・三三四
〇・〇八六八〇
〇・二五〇
〇・三三四
〇・〇七九〇九
〇・二二二
〇・二五〇
〇・〇七一二六
一〇
〇・二〇〇
〇・二五〇
〇・〇六五五二

別表第十 平成二十四年四月一日以後に取得をされた減価償却資産の定率法の償却率、改定償却率及び保証率の表

一番右の列にしれっと「保証率」が記載されていますね?

耐用年数10年なら保証率は「0.06552」、4年のものは「0.12499」となっています。

これに購入金額をかけると「償却保証額」を算出できますね。

 

例えば、購入金額100万円で耐用年数10年の資産を考えてみましょう。

償却保証額は次の式で求められます。

$$購入金額×保証率$$

$$=100万円×0.0652$$

$$= 65,200円$$

減価償却費が償却保証額(65,200円)に満たなくなった場合、計算式が

$$(未償却残高)× (償却率) ×  \frac{使用月数}{12}$$

から

$$(未償却残高)× (改定償却率) ×  \frac{使用月数}{12}$$

へ変わるのですね。

 

改定償却率

それじゃあ、どう式が変わるのかっていうと、

「償却率」を「改定償却率」に変えるだけです。

$$(未償却残高)× (改定償却率) ×  \frac{使用月数}{12}$$

「改定償却率」も保証率と同様に、耐用年数によって変化します。先程の表をみると、

耐用年数
償却率
改定償却率
保証率
一・〇〇〇
―――――
―――――
〇・六六七
一・〇〇〇
〇・一一〇八九
〇・五〇〇
一・〇〇〇
〇・一二四九九
〇・四〇〇
〇・五〇〇
〇・一〇八〇〇
〇・三三三
〇・三三四
〇・〇九九一一
〇・二八六
〇・三三四
〇・〇八六八〇
〇・二五〇
〇・三三四
〇・〇七九〇九
〇・二二二
〇・二五〇
〇・〇七一二六
一〇
〇・二〇〇
〇・二五〇
〇・〇六五五二

償却率と保証率の間に「改定償却率」がしれっと挟まれていますね。

耐用年数4年ならば、改定償却率は1.00、耐用年数10年ならば0.250。

定率法の場合、途中で償却率が変化するので厄介です。

 

減価償却(定率法)の計算問題にチャレンジ!

それでは、例題を解いてみましょう。

ある男性がMacBook Pro 15インチモデル(パソコン)を606,204円で7月14日に購入しました。この場合、定率法で減価償却した場合の償却の様子を表にしなさい。

 

償却率をチェック

まずは償却率をチェック。

こちらの資料によると、パソコンの耐用年数は4年です。

さっき出てきた『別表第十 平成二十四年四月一日以後に取得をされた減価償却資産の定率法の償却率、改定償却率及び保証率の表』をみると、耐用年数4年の資産の場合、

  • 償却率 = 0.5
  • 改定償却率 = 1.00
  • 保証率 = 0.12499

ですね。

耐用年数
償却率
改定償却率
保証率
一・〇〇〇
―――――
―――――
〇・六六七
一・〇〇〇
〇・一一〇八九
〇・五〇〇
一・〇〇〇
〇・一二四九九
〇・四〇〇
〇・五〇〇
〇・一〇八〇〇
〇・三三三
〇・三三四
〇・〇九九一一
〇・二八六
〇・三三四
〇・〇八六八〇
〇・二五〇
〇・三三四
〇・〇七九〇九
〇・二二二
〇・二五〇
〇・〇七一二六
一〇
〇・二〇〇
〇・二五〇
〇・〇六五五二

別表第十 平成二十四年四月一日以後に取得をされた減価償却資産の定率法の償却率、改定償却率及び保証率の表

 

償却保証額を算出

購入金額に保証率をかけて「償却保証額」を計算します。

保証率は「0.12499」なので、購入金額606,204円にかけて「償却保証額」を計算します。

$$購入金額×保証率$$

$$=606,204円×0.12499$$

$$= 75,770円$$

75,770円という償却保証額が出ましたね。

減価償却の計算で端数が出たら切り上げるらしい

減価償却費が75,770円未満になるまで、償却率0.5で計算しますよ。

 

初年度の減価償却

例題の男性は、年度途中の7月にMacBook Proを購入していますよね?

初年度の使用月数は、7〜12月までの「6ヶ月」になるので、次のように計算できます。

$$(未償却残高)× (償却率) ×  \frac{使用月数}{12}$$

$$=606,204円× 0.5 ×  \frac{6}{12}$$

$$=606,204円× 0.5 ×  \frac{6}{12}$$

$$=151,551円$$

が初年度に計上できる減価償却費です。

 

減価償却費が償却保証額を下回るまで(2〜3年度)

あとは減価償却費が償却保証額を下回るまで、

$$(未償却残高)× (償却率) ×  \frac{使用月数}{12}$$

で償却額を計算していきます。

 

したがって、2年目は

$$(未償却残高)× (償却率) ×  \frac{使用月数}{12}$$

$$=(606,204-151,551)× 0.5 ×  \frac{12}{12}$$

$$=227,327円$$

 

3年目は、

$$(未償却残高)× (償却率) ×  \frac{使用月数}{12}$$

$$=(606,204-151,551-227,327)× 0.5 ×  \frac{12}{12}$$

$$= 113,663円$$

 

ついに、減価償却費が保証金額を下回る

4年目は、

$$(未償却残高)× (償却率) ×  \frac{使用月数}{12}$$

$$=(606,204-151,551-227,327-113,663)× 0.5 ×  \frac{12}{12}$$

$$= 56,832円$$

 

おっと。

ついに減価償却費が保証金額「75,770円」を下回りましたね。その場合、

$$(未償却残高)× (改定償却率) ×  \frac{使用月数}{12}$$

で計算します。「改定償却率」は耐用年数4年なら1.00なので、4年目の計算は

$$(未償却残高)× (改定償却率) ×  \frac{使用月数}{12}$$

$$=(606,204-151,551-227,327-113,663)× 1.00 ×  \frac{12}{12}$$

$$=113,663円$$

となりますね。

 

ただし、定額法と同じく、定率法でも最終年度に1円を残さねばなりません。

これは「備忘価額」と呼ばれるもの。

資産を持っていたことの証拠を残さなければならないのです。

資産を破棄しない限り1円を残しておきましょう。

 

最終年度4年目の減価償却費は、計算は113,663円から最後に1円を引いた、

113,662円

になるのです。

償却の様子をまとめると次になりますね。

年度 償却残高 償却額
1 606,204円 151,551円
2 454,653円 227,327円
3 227,326円 113,663円
4 113,663円 113,662円
5年目以降 1円

 

まとめ:減価償却するなら定率法がお得

以上、定率法の計算方法でした。

定率法の計算のキモは、

償却費が保証額を下回ると、償却率が変化することですね。

償却率から改定償却率に進化して、償却する割合をパワーアップできるんですね。

 

いやあ、こうして整理してみると、

圧倒的に定額法よりも定率法がお得です。

初年度から償却できる額が違いますから。

 

しかも今回のケースのように、年度途中の資産購入なら、さらに定率法が強いと判明。

定額法よりも1年早く償却が終わるのですよ?

 

ただし、定率法を使うためには『減価償却資産の償却方法の届出書』を確定申告期限まで出さないといけません。

定率法と定額法の比較記事もよかったら参考にしてください。

 

それでは、よき減価償却を。

Lin

 

【参考記事】

 

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