税金は大丈夫?Go Toトラベル支援額で発生する一時所得の計算方法




Go Toトラベルは2020年7月22日から始まった、新型コロナウイルス拡大で消失した観光需要を取り戻すための日本政府による経済施策。

具体的にどれくらい旅行代金を支援してもらえるかというと、ズバリ、

旅行代金の50%を支援してもらえます。

その内訳は、

  • 旅行代金から35%割引
  • 地域共通クーポンは旅行代金の15%支給

これら「旅行代金割引額35%」「地域共通クーポン支給額15%」をまとめて「支援額」と呼んでいます。

実はこのGo Toトラベルの支援額は、

課税対象になるのです。

こちらのGo Toトラベルの公式のQAによると、次のように書いてあります。

Go To トラベル事業を利用して旅行した場合、国による支援額(旅行代金の2分 の1相当額)は課税対象になるのか。

A Go To トラベル事業は国内旅行を対象に、旅行業者等を通じて、宿泊・日帰り旅 行代金の 2 分の1相当額の給付を旅行者に対して行うものであり、この給付は税 務上、旅行者個人の一時所得として所得税の課税対象となります。 ただし、課税対象になるとはいえ、一時所得については、所得金額の計算上、50 万円の特別控除が適用されることから、他の一時所得(懸賞や福引きの賞金品や 競馬や競輪の払戻金等※)とされる金額と Go To トラベル事業による給付額との 合計額が年間 50 万円を超えない限り、旅行者個人の課税所得は生じません。

 

なるほど。

旅行者個人の一時所得としてカウントされる、と。

 

さて、それでは「一時所得」とは何なのでしょうか?

こちらの国税庁のページによると、次のように書いてあります。

営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得

例えば、競馬や懸賞、宝くじなどで受けた賞金が、この一時所得に該当するのですね。

これらの所得の特徴は「営利を目的とした継続的なものではない」、と。

なるほど。確かに言われてみれば、Go Toトラベルの支援額は、営利を目的とした継続的行為から生じた以外の所得で、一時所得に当たると考えるのが妥当そうです。支援額を受けるためには旅行するだけなので、労務や役務の対価として支援されるわけではありません。

うん、Go Toトラベルの支援額は圧倒的に「一時所得」でしょう。

ってことで、今日は「Go Toトラベルにおける一時所得の計算方法」を解説していきますよ。

 

Go Toトラベルの一時所得計算方法

Go Toトラベルの支援額のような一時所得が生じた場合、一時所得は2段階によって計算し、年間(1~12月)の個人の総所得に算入します。

1つ1つ計算の流れを見ていきましょう。

 

一時所得を計算

一時所得そのものをまずは計算しましょう。

ずばり、次の計算式で求められます。

(総収入金額)-(収入を得るために支出した金額)-(特別控除額最大50万円)

 

それぞれの要素を順番に紐解いていきましょう。

まず「総収入金額」は「Go Toトラベルの支援額」そのものの合計金額のこと。

Go Toで80万円支援されたら80万円です。

 

次の「収入を得るための支出」に関しては、これは大いに悩みどころです。

国税庁のページには注意書きとして、

その収入を生じた行為をするため、又は、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります。

と説明されています。

これは僕の見解ですが、

Go Toトラベルの支援額の一時所得を考える場合は0円でいいと思います。

もしかしたら「旅行代金の半額(割引後に払う金額)」がこれに該当するのでは、と思いましたが、それだと全く一時所得が発生しないことになります。

なぜなら、Go Toトラベルでは支払い金額と支援額がイコールの関係にありますから。

「収入を得るための支出」が0円でないとすると、Go Toトラベルの公式のQ&Aに「支援額は一時所得である」と掲載する意味がわかりません。

ってことで、「収入を得るための支出」は0円として考えましょう。

 

そして、最後の「特別控除額最大50万円」は、発生した一時所得に対して無条件に引いてくれる控除金額のこと。

この特別控除の存在によって、

Go Toトラベルで得た支援額は50万円以上にならない限り、一時所得は発生しないのです。

例えば、1〜12月で80万円の支援金額をGo Toトラベルで受けたとしましょう。

その場合、支援額80万円から特別控除額の50万円を引いた30万円が一時所得になります。

 

総所得に算入する

一時所得を計算できたら、確定申告で一時所得を個人の総所得金額に算入します。

一時所得額が50万円未満(1~12月で)ならば、そもそも一時所得が発生せず、この計算は必要ないですけどね。

 

もし、先ほど計算した一時所得が1〜12月で50万円を超えたら、

個人の総所得(1~12月)に足すんですね。

 

ただし、一時所得の場合、事業所得や給与所得と異なり、

一時所得の金額を2分の1にした、つまり、半分にした金額を総所得に加えるのです。

生々の熱々の一時所得全額ではなく、加える際に半分にしてもらえるんです。

 

例えば1〜12月で80万円のGo Toトラベルの支援額を得たとしましょう。

この場合、一時所得額は先程の計算によって30万円と算出されました。

そしてこの一時所得額を個人の総所得(1〜12月)に加える際、

一時所得30万円の半分15万円を加えるんですね。

 

Go Toトラベルの支援額で納める税金はどれぐらい増えるのか?

さて、ここで気になってくるのが、

Go Toトラベルの支援額で一時所得が増えた場合、どれくらい納める税金が増えるのか?

ということ。

所得が一時所得などによって増加した場合、影響を受ける税金は大きくわけて

  1. 所得税
  2. 住民税

の2つ。

 

所得税の増加分

まずは所得税の増加分ですね。

ズバリ言ってしまうと、

所得の大きさによって増える税金の金額が変化します。

なぜなら、所得の大きさによって所得税率が異なるからです。

こちらのお馴染みとなりました表のように、個人の所得金額によって所得税率が割り振られています。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

※ 平成27年度以降(国税庁ページより

所得が大きいほど税率も大きくなるんですね。

 

ってことで、この所得税率を考慮すると、一時所得の発生による税額増加分は、

(一時所得 – 50万円)× 2分の1× 所得税率

です。

例えば、一時所得を算入した結果、1〜12月の所得の合計額が「400万円」になったとしましょう。

その場合、先程の所得税率の表と照らし合わせると、

所得税率は20%であることが判明します。

 

したがって、もしGo Toトラベルの支援額が1〜12月で80万円だったとしたら、

(一時所得 – 50万円)× 2分の1× 所得税率

= (80万円 – 50万円)× 2分の1× 20%

= 3万円

だけ納税金額が増えるのです。

 

住民税の増加分

また、所得の大きさに応じて納税額が変化するものに「住民税」があります。

こちらは所得税と異なり計算方法はすこぶる単純。

課税所得(所得税率をかける前の金額)の10%を納めます。

 

したがって、一時所得による住民税の増加分は、

(一時所得 – 50万円)× 2分の1× 10%

で計算できます。

先程の例のように、80万円のGo Toトラベルの支援額を得たとしたら、

(一時所得 – 50万円)× 2分の1× 10%

= (80万円 – 50万円)× 2分の1× 10%

= 1万5000円

だけ住民税納付額が増えるのです。

 

所得税・住民税の増加分を合算

ってことで、先程の例で一時所得による「所得税」「住民税額」の増加分を合計すると、

(所得税増加分)+(住民税増加分)

= 3万円 + 1万5000円

= 4万5000円

税額が増えてしまいます。

 

これを一般化するため、

  • Go Toトラベルで得た支援額をx [円]
  • 所得税率をρ [%]

としましょう。

(所得税増加分)+(住民税増加分)

= (一時所得 – 50万円)× 2分の1× 所得税率 + (一時所得 – 50万円)× 2分の1× 10%

= (x – 50万円)× 2分の1× ρ + (x – 50万円)× 2分の1× 10%

= (2分の1 x – 25万円)× ρ + (2分の1 x – 50万円)× 10%

= (2分の1 x – 25万円)(ρ + 10%)

という式があぶりだされます。

 

例えばこの式に、

支援額 x = 100万円

所得税率ρ = 10%

を代入すると、

(所得税増加分)+(住民税増加分)

= (2分の1 x – 25万円)(ρ + 10%)

= (2分の1 × 100万円 – 25万円)(ρ + 10%)

= 25万円 × 20%

= 5万円

となります。

つまりこの場合の所得税・住民税の増加分は「5万円」だ、と。

 

このように、どれだけ税金が増えるかはご自身の所得税率によって変化します。

まずはあの表で、自分の所得税率がどれくらいなのか確認してみるといいでしょう。

 

Go Toトラベルで一時所得が発生する条件

というわけで、Go Toトラベルの支援額が1〜12月で50万円以上でないと、一時所得は発生しません。

Go Toトラベルの支援額は旅行代金の2分の1にあたりますので、50万円以上の支援額を発生させるということは、

100万円以上の旅行代金をGo Toトラベルで支援してもらわない限り、一時所得は発生しません。

そこまでは、Go Toトラベルの支援額が課税対象にならないんですね。

 

そして、もっと注目すべきは「個人の会計年度」です。

先程からちらちらと出てきていますが、個人の所得は「1〜12月」の1年間で計算します。

個人ではなく法人の場合、決算日を自由に決められるので、会社によって会計年度は異なります。

4〜3月のところもあれば、9〜8月の会計年度の会社も存在していますよね。

が、しかし、個人の場合、どんな聖人であろうが「1〜12月」という会計年度は動かせません。

 

そして、Go Toトラベルはというと、2020年の7月22日から始まっていますよね?

つまり、この時期は個人の会計年度1~12月のど真ん中にあたるわけです。

そして、今のところ、Go Toトラベルキャンペーンは2021年の1月末まで続く予定ですので、Go Toトラベルのキャンペーン期間は

  • 2020年7月22日〜12月31日
  • 2021年1月1日〜1月31日

というように、2つの個人の会計年度にわかれるのです。

 

したがって、一時所得が50万円を超えるかどうか気にするべきなのは、1つ目の「2020年7月22日〜12月31日まで」の会計年度に注意しておけばいいです。

7月から12月で、支援額は50万円を超えているのかをチェックしてみてください。

そして、12月31日までに50万円を超えそうだったら、年末までは大人しくして旅行せず、年が明けて年度が変わって2021年1月1日になったら、また新たにGo Toトラベルで旅に出かければ、支援額を課税対象とせず恩恵を受けられるでしょう。

 

サラリーマンのGo Toトラベル支援額の一時所得

さて、ここまではGo Toトラベルで生じる一時所得の中身を解剖してきました。

僕自身、フリーランスなので、一時所得があろうがなかろうが毎年確定申告をしなければなりません。

 

一方、サラリーマン、いや、会社員をはじめとするビジネスパーソン、つまり「給与所得者」である方が気になるであろうことが1つあるでしょう。

それは、

どれくらいGo Toトラベルの一時所得があったら確定申告をしなければならないのか

ということ。

実は会社員やアルバイトなどの給料所得者の場合、

給与所得、退職所得の合計金額が1〜12月で20万円を超えなければ確定申告の必要はない

というルールが定められています。

ただし、給与所得が2000万円を超えるプレーヤー、2箇所以上から給与を貰っている方は確定申告が必要です。

 

したがって、

(一時所得 – 50万円)× 2分の1

が20万円を超えなければ、確定申告の必要はありません。

一時所得の発生によって確定申告をしなければならなくなる最低Go Toトラベル支援額金をXminとすると、次の方程式が立てられます。

(Xmin – 50万円)× 2分の1 = 20万円

Xmin = 90万円

つまり、会社員の方は、1〜12月においてGo Toトラベルの支援金額が90万円を超えなければ確定申告はしなくていいんです。

したがって、Go Toトラベルの支援額が90万円ということは、その2倍が旅行代金にあたるので、

180万円分の旅行代金までGo Toトラベルで支援されなければ確定申告の必要はありません。

ただし、これはあくまでも所得の確定申告の場合なので、もしGo Toトラベルの一時所得が50万円を超えたら住民税の申告は必要になるのでご注意ください。

 

以上、Go Toトラベルの支援額に生じる一時所得の税金の話でした。

今まで何回も確定申告をしてきましたが、宝くじに当たったり、競馬で勝ったりしたことがなかったので、一時所得とは無縁の生活を送ってきました。

しかし今回、Go Toトラベル割引の恩恵を受けたこともあり、一時所得が発生するかもしれない危機感を覚え、徹底的に調べてみました。

Go Toトラベルがきっかけで税金の勉強ができたのは収穫でしたね。

もし、Go Toトラベルにお世話になりすぎて税金が心配になっている方は、ぜひご自身の一時所得を計算してみてください。

 

それでは!

Lin

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