音声入力の未来を描いた映画があった
ブログを音声入力で書いていると、
音声入力による文章作成が今後どうなっていくのか?
気になってきます。
そのヒントを得られる映画が存在していて、その名も、
『her/世界でひとつの彼女』(原題はher)
です。
人間らしさを獲得した音声対話型OSが誕生した未来。
そのOSに恋してしまう男性の話が描かれています。
近未来を描いたSF映画として捉えられますが、内容の9割は恋愛を描いた物語です。
僕自身、父と映画館へ見に行ってしまって少し気まずくなった思い出もあります。
今回、この映画『her』で描かれた音声入力の未来を探るために、今度は1人で鑑賞してみたのです。
映画『her』にみる手紙代筆ビジネス
主人公の男性はセオドア。
ハートフル・レター社(英語だとbeautifulhandwrittenletters.com)に勤務する30~40代の男性です。
この会社は、依頼人の代わりに「手書きの手紙を書く仕事」を請け負っています。

映画「her/世界でひとつの彼女」(字幕版)2:47より
セオドアはその社員のうちの一人で、代筆ライターとして働いているのです。
仕事内容はすこぶるシンプル。
依頼人の個人情報を把握した上で、写真などをみながら、パソコンに向かって手紙の内容をしゃべっていきます。
すると、パソコン上に文字が生まれ、手書きの手紙が自動で描かれるのです。
それを印刷して、配送するのが主な仕事。
代筆ライターは同じフロアーに何十人もいるようです。
各ライターたちはデスクのパソコンに向かって書いている様子が描かれています。

映画「her/世界でひとつの彼女」(字幕版)3:03より
そして、それらの代筆ライターらを束ねる受付係が1人いて、手紙内容をチェックしているようでしたね。
これが『her』という映画で描かれてる手書きの手紙代行ビジネスbeautifulhandwrittenletters.com社の概要です。
映画「her」にみる音声入力の未来
それでは、もっと細かく音声入力の未来を見ていきましょう。
キーボードに指1歩を触れないで執筆
セオドアもそうですが、同じフロアにいるライターの誰1人としてタイプしていないと気づきました。
みんながみんな、パソコンにしゃべるだけ。
キーボードのカタカタ音はこの時代ではもはや死語、というか死音です。

映画「her/世界でひとつの彼女」(字幕版)2:47より
この「キーボードに触れずに書く」を実現したのは、音声入力の精度の高さに加えて、
手紙の形式を自動で適用してくれる「スタイルの自動化」にあります。
改行、ピリオド・コンマ挿入、手紙の形式の適用も自動なのです。
例えば、手紙の最後に書く「〜より」という部分。

映画「her/世界でひとつの彼女」(字幕版) 2:00より
注意してみると、本文とは別の箇所に自動でジャンプして書かれるようになっています。
セオドアはキーボードに指一本触れずに、「〜より」のパートを本文から切り離していました。
このような技術が実現したため、100パーセント音声入力で書けるようになったのです。
音声コマンドを活用
他のコマンドも音声でやってのけていました。
劇中で描かれていたのは次の3コマンド。
- Print(印刷)
- Send(送信)
- Delete(削除)
手紙を書いた後の印刷も、マウスをクリックするのではなく、声で「プリント」と言ってプリントしていました。

映画「her/世界でひとつの彼女」(字幕版) 2:06より
音声コマンドを実現したこともあって、キーボードに指1本触れず仕事できるのでしょう。
画面を見なくてもいける
代筆ライターの社員にもよるのですが、画面を見ずに音声入力しているシーンが描かれていました。
これは映画の冒頭で、セオドアの顔面が映された場面で描かれていました。

映画「her/世界でひとつの彼女」(字幕版)0:56より
彼はどこかをまっすぐ見るのではなく、中空に視線を漂わせるような姿勢で書き続けました。
パソコンのスクリーンを凝視している様子は微塵もありません。
何かこう、よい言葉が出るように視線も固定せずに漂わせていたのです。
この「画面を見なくても音声入力をできるようになった」背景としては、先程も出てきたように、
- 精度の高さ
- 形式の自動適用
- 音声コマンドの活用
という要因があるのでしょう。
自動校正もできる
自動で校正する様子も描かれていました。
これは対話型OSのサマンサに仕事を頼んだところですね。

映画「her/世界でひとつの彼女」(字幕版)17:06より
主に何をチェックしてもらったかというと、
- 文法
- スペル
の2つ。
まず、サマンサに手紙を数パターン送信。
その49秒後に対話型OSのサマンサは、
手紙に赤で訂正を入れ、さらにフレーズの変更も行った
と言っています。
これまで音声入力で書いたら、自分で見直すしかありませんでした。
特に、音声入力は吹き込みによるミスが多いので、誤字脱字が生まれやすい傾向にあります。
しかし、この音声入力の弱点である誤字も自動校閲機能が解決してくれるのでしょう。
僕自身、文章作成ツール「文賢」で校正・推敲していますが、これに近い未来になるのかもしれません。
手紙をまとめて1つの本へ(自動編集)
対話型OSのサマンサが出版社へ手紙を送るシーンもありました。
サマンサが手紙の中でよかったやつをピックアップ。
それをまだ紙の本を印刷しているクラウン社(crown point press)に送って、書籍化される場面が描かれていました。

映画「her/世界でひとつの彼女」(字幕版)1:35:32より
これは暗に、編集者の役割が自動化されたことを意味します。
ライターは、好きなように書くだけで、本が出版できるようになるのかもしれません。
ライターはより「文章を書く」という得意分野にフォーカスできるでしょう。
人々は歩きながら話す
主人公セオドアだけではなく、周囲の人々も音声技術を活用していました。
セオドアが街を移動中にサマンサと話しながら歩くシーンがあり、ここで僕が注目したのは、
セオドアの周辺にいる一般人たち。
歩きながら、セオドアと同じようにマシーンにしゃべりかけているではありませんか。

映画「her/世界でひとつの彼女」(字幕版)1:03:36より
セオドアの左斜め後ろを歩く長身の男性を除いて、ほぼすべての人間が人間以外にしゃべって移動していたのです。
みんな対話型OSに話しかけていたのでしょう。
しかし、この「移動しながら音声技術を使う」ことは書くことにも応用できます。
椅子に座ってパソコンに向かう必要はなく、歩きながら書いてもいいのですね。
移動時間すらアウトプットできる未来が待っています。
はい、以上です。
音声入力の未来を復習するために1人で再鑑賞しましたが、やはり恋愛色が強い。
記憶通り9割が恋愛のトピックスで、心にずっしり重くのしかかってくる作品でした。
音声入力の未来を覗くと同時に、恋愛映画でしんみりしたい方は『her』がおすすめです。
それでは!
Lin

おそらく、ブロガー。現在ホテル暮らしで全国フラフラしています。
ネット広告代理店に1年3ヶ月勤め上げ、独立をして丸4年が経ちました。今年でフリーランス 5年目。
質問・ご意見・相談があればLINEで受け付けていますのでお気軽にどうぞ 。
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