こういった疑問に答えます。
- FX自動売買で勝てる本物のEAなど存在しない
- FX自動売買で勝てる本物のEAではなく”ポートフォリオ”運用を考えるべき
- FX自動売買は『個人競技』ではなく『チームスポーツ』
- 勝てないEAしか存在しない話【FX自動売買の真実】
- 勝てないEAから学べる事とは【結論:統計思考】
この記事を書いている筆者は、2007年から投資をはじめ、現在は投資収益のみで海外ノマド生活中。取引手法は自動売買をメインに行い、EAは長期稼働できるものを厳選して使っています。
こういった背景から、”FX自動売買で勝てる本物のEA”についてお話しします。
FX自動売買で「勝てる本物EA・勝てないEA」など存在しない
投資歴10年以上のトレーダーに聞いてみれば分かるはず。
『勝ち続けるEA』など”ほぼ”ありません。
それは、初心者の思い込みです。
「勝てるEA or 勝てないEA」とはただの思い込みである
次の2つのうち、利益が出るEAはどちらだと思いますか。
答えは、この2つは同じEAで、稼働期間が違うだけです。
B:2020年1月のみの1か月
おそらく『B』を選んだ人が多かったのではないでしょうか。『B』を選んでしまう理由には、以下のような先入観があります。
- 勝てるEA:短期間で利益が出る
- 勝てないEA:短期間で利益が出ない
- 本物のEA:短期間で利益が出る
- 偽物のEA:短期間で利益が出ない
では、なぜ『勝てる本物のEA』などという言葉が独り歩きするのでしょうか。
原因はEAを作る側の考え方を見ればわかります。
EAの成績を盛っている?
ハロー効果
ハロー効果(ハローこうか、英語: halo effect)とは社会心理学の用語で、ある対象を評価する時に、それが持つ顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる(認知バイアス)現象のこと。光背効果、ハローエラーともいう。
EAの販売サイトの成績を見ていると、良いものが多いですよね。
もし、この成績が本物ならば、みんな大儲けしている。
そうでないなら、この成績はウソになる。
どっちなのでしょう?
正解は「半分ホントで半分ウソ」。理由はEAを自分で作ってみるとわかります。
「成績は6か月で利回り10%ほど、損失も抑えられている。オレ、天才かも!」そして、公開後3か月経過、、、「利回りは5%ほど、月利回りでも1%以上堅実に儲けている。」
「どのくらいの人が、使っているのか見てみよう。」現在の利用者数は0人です、、、これが現実です。
これを見たEA開発者は、設定を修正して利回りは高くなるが、リスクも高くなるロボットを公開するようになります。そして成績の良いEAばかりになっていく。
EAの利用者が「ハロー効果」の影響で短期的に成績の良いものを選ぶため、ロボット開発者も見栄えの良いEAを多く公開するようになってしまう。こういった現象が起こります。
先ほどの「半分ホントで半分ウソ」を言い換えると、
短期的な利回りは高くなっているが、同時に口座破綻リスクも高くなっている。
こんな感じです。これが『勝てる本物のEA』の正体ですね。
『勝てる本物のEA』が、ただの思い込みならば、FX自動売買で勝つことは不可能なのでしょうか。考え方を変えれば、その答えは見えてきます。
FX自動売買で勝てる本物のEAではなく”ポートフォリオ”運用を考えるべき
『勝てる本物のEA』を追い求めることに意味がないのなら、具体的にどうしたらいいのでしょうか。ヒントは、投資の格言のなかにありました。
卵は一つのカゴに盛るな(たまごはひとつのかごにもるな)
分類:相場・格言・由来
株式相場の世界では、先人が、その経験を基にして、さまざまな格言を残している。卵は一つのカゴに盛るなも、そのうちの一つである。卵を一つのカゴに盛ると、そのカゴを落とした場合には、全部の卵が割れてしまうかもしれないが、複数のカゴに分けて卵を盛っておけば、そのうちの一つのカゴを落としカゴの卵が割れて駄目になったとしても、他のカゴの卵は影響を受けずにすむということ。
特定の商品だけに投資するのではなく、複数の商品に投資をして、リスクを分散させた方がよいという教え(=銘柄分散投資)。
出典:卵は一つのカゴに盛るな|証券用語解説集|野村證券
株式投資で使われている考え方なのですが、FX自動売買にも当てはまります。複数のEAでトレードすることで、トータルでのリスクを小さくすることができる。大切なのことは、利益の最大化ではなく、リスクの最小化という点です。
1つのEAでFX自動売買するのではなく、複数のEAで利用して運用する。それでは、具体例を見ていきましょう。
1つのEAのみで運用するより、複数のEAを動かした方が安定しているのがわかります。つまり『勝てる本物のEA』ではなく『勝てる本物のポートフォリオ』を考えることに集中した方がよさそうです。
FX自動売買は『個人競技』ではなく『チームスポーツ』
なぜ、1つの『勝てる本物のEA』にこだわってしまうのでしょうか。それは「裁量トレード」と「FX自動売買」の手法の違いによるものです。
裁量トレードの場合
裁量トレードとは、自分で売買タイミングを判断するトレード手法。すべての取引を手動でおこなうため、24時間取引することは不可能。
また、1人の人間ができる範囲のトレードしかできないため、複数の手法を同時に行うということも難しい。そして、チャートの分析力が重要となります。為替相場の動きを読むために、経済的な知識も必要。
よって裁量トレードは、個人スポーツにちかいと言えるでしょう。
・マラソン
・水泳
・テニス
・柔道
FX自動売買の場合
いっぽう、FX自動売買は、あらかじめ設定した売買ルールに従って機械的にトレードしていく手法。FX自動売買のためのツールとして、最も使われているのがEA(エキスパートアドバイザー)です。
トレード結果は、EAの質や相場との相性で決まります。裁量トレードとちがい、24時間トレードが可能。さらに複数手法を同時に実行することができる。
なのでFX自動売買は、チームスポーツ的な取引スタイルと言えます。
・サッカー
・ラグビー
・野球
・バスケットボール
こういった違いから、裁量トレードとFX自動売買では求められるスキルも変わってきます。
- 裁量トレード:個人のトレードスキル
- FX自動売買:複数EAを運用するマネージメントスキル
FX自動売買の初心者は、ほとんどの人が裁量トレードの考え方で、トレードスキルの向上を目指してしまいます。
なので『勝てる本物のEA』という言葉を追い求めてしまいす。ですが、FX自動売買で必要なのは『安定したポートフォリオ』を作るマネージメントスキルです。
もしかしたら反論を持つ方がいるかもしれませんが、最終的に利益を手にしたいのであれば、この考え方は大きく間違っていないはずです。
② 勝てないEAから学べること
③ 勝てないEAを評価するための方法
さっそく見ていきましょう。
勝てないEAしか存在しない話【FX自動売買の真実】
勝てるEA、勝てないEAの定義って一体、何なんでしょうか。
- 勝てるEAの定義:利益が出る
- 勝てないEAの定義:利益が出ない
- 勝てるEAの定義:長期稼働できるEA
- 勝てないEAの定義:長期稼働できないEA
答えは、長期稼働できるEAが『勝てるEA』です。
すべてのEAは、大きく分けて2つのタイプに分けることができます。
- 短期的に利益は出るが、長期的には口座破綻リスクが高いEA
- 短期的には利益と損失を繰り返すが、長期的には利益となるEA
短期的には爆益だが、そのあと口座破綻するEAが多い話
この点については、EAを作って販売するという視点から考えると理解できます。EAは、綺麗な右肩上がりの損益になっているものが、より多く売れます。しかし、そのような状況は短期的には可能でも、長期的には不可能だということを経験者はみんな知っています。
なので、経験者はEAを短期的な利益ではなく、長期的に稼働できるかで判断して購入します。しかし、FX自動売買の初心者はどうでしょうか。
- 勝てるEAの定義:利益が出る
- 勝てないEAの定義:利益が出ない
こういった考え方でEAを選んでしまいます。なのでEA販売者がより多くEAを売るためには、短期で利益が出るEAを作らなければなりません。どれだけ、口座破綻リスクが高くなろうとも、、、(;´・ω・)
損益が右肩上がりのEAばかりが、世に出回る仕組みです。
EAが長期稼働できれば利益になります。
「利益が出るから長期稼働する」のではなく「長期稼働できるから利益になる」。これがFX自動売買をはじめとする投資で成功するためのポイントです。
利益は『値幅』ではなく『複利』によって増えていく
勝てるEAに必要なのは、「トレード回数」と「トレード期間」。
なぜなら複利の力を使うために必要だから。
複利 (ふくり)
複利とは利息の計算方法のひとつで、一定期間ごとに利息を元本に組み入れ、その元本に対して利息が計算される方法です。利息の再投資のリターンを考慮に入れた方法で、元本に利息が加えられる期間によって、1カ月複利、半年複利、1年複利などがあります。
複利に対し、当初の元本に対してのみ、利息が計算される方法を単利といいます。単利と複利を比べると、複利は利息が利息を生むので、最終的な利息総額が多くなり、長く運用するほどその効果は大きくなります。これを複利効果といいます。
- 1カ月の利回り1%のEA→3年後14.3万円
- 1カ月の利回り2%のEA→3年後20.3万円
- 1カ月の利回り3%のEA→3年後28.9万円
- 1カ月の利回り4%のEA→3年後41.0万円
- 1カ月の利回り5%のEA→3年後57.9万円
これを見ていただければ、月利回りが5%以下のEAが優秀なのが理解できるはず。ただ前提条件として、3年間動かし続けることができる、ということが重要となってきます。
勝てるEAの条件として、長期間稼働できること。つまり、FX自動売買では「トレード回数」と「トレード期間」が大切ということです。
勝てないEAから学べる事とは【結論:統計思考】
勝てないEA・勝てるEAを見分けるポイントを見ていきます。
見るべき数字は次の3つです。
- その①:トレード回数は1日1回以上
- その②:トレード期間は3年以上
- その③:スプレッドや手数料などのコストは利益の50%以下
その①:トレード回数は1日1回以上
FX自動売買ではトレード回数が多いEAのほうが基本的に有利です。裁量トレードの場合、生身の人間なので取引が多くなると、それと同時にミスも増えていきます。
しかし、自動売買では、その可能性がほぼないので、優位性のあるロジックでなら、できるだけ多く取引するEAのほうが優秀ということになります。
その②:トレード期間は3年以上
3年以上生き残るEAは、ほんのわずかです。なぜなら、ほとんどのEA開発者が、長期稼働できないEAを作っているから。事実として、FX自動売買の初心者には、短期的には利益が出そうな短命のEAのほうがよく売れます。そのことは、各種EAランキングの結果を見てみれば、よくわかります。
ご覧の通り。販売から3年以上経過しているモノは、ありません。複数EAを購入するのであれば、検討してもいいと思います。ただ、初心者が最初に選ぶEAではありませんね。
その③:スプレッドや手数料などのコストは利益の50%以下
FXトレードでコストがかかるとは意外かもしれません。
FXではスプレッドという形で、手数料を取っています。決して手数料無料ということはありません。
答えは「YES」。消費税がガッツリ10%も取られています。商品価格に埋め込んで見えにくくすることで…。もう一度言います。FX取引は無料ではできません、取引毎にコストが発生しています。
取引手数料
実質的なコストとなる売値と買値の価格差(スプレッド)は発生しますが、取引手数料は無料となっています。
かかったコストは、こんな感じで確認できます。取引損益から、この手数料やスワップなどのコストを引いた残りが実質的な利益です。当たり前ですが、このコストは少ないに越したことはありません。具体的な方法としては、海外FXで自動売買にオススメ業者を参考にしつつ、最適な海外FX業者を選択する。
そして、無料で登録できるキャッシュバックサイトの利用になります。
» TariTali(タリタリ)|最大50%キャッシュバックします
勝てないEAを評価するための方法【これを読め】
EAを利用してFX自動売買を始めようと思ったら、何からはじめていいのか迷う人が多いと思います。もちろん準備に時間をかけすぎて、行動しないのでは意味がありません。ですが、なんの予備知識もなしにというのも危険です。
ここでは、『これだけ読めば大丈夫』という本を紹介します。
FX自動売買をはじめる際の必読書を紹介
筆者は1000冊以上の投資本を読んでいますが、FX自動売買についての考え方が最もわかりやすく書かれている本です。他にも何冊かあるのですが、海外の翻訳本だったり、株や先物の自動売買だったりします。この本については、日本人の作者がFX自動売買について書いたものなので、初心者でも分かりやすい内容です。
ぶっちゃけ、この1冊だけ読めば十分で、あとは行動しながらトライアンドエラーを繰り返していくのが最短コースなのかなと。
ポイント:FX自動売買のEAが勝てない話
- ほとんどのEAは短命型に作られている
- FX自動売買で勝ちたければ、複利を味方につけること
- 具体的には「トレード回数」が多く「販売期間」が長いものを選ぶ
- FX自動売買の基本的な考え方は本で学べます
こんな感じ。
EAの選び方のポイントを確認しました。
なので、あとは行動するだけ。
※最初から、数十万円払ってEAを購入するのがキツイ方もいるはず。そんな場合は、無料EAサイトから始めてみてください。まずは肌感覚をつかむことも大切です。焦らず、最初は無料からスタートしてください。
さいごに:FX自動売買で勝てる本物のEAなど存在しない
記事のポイントをまとめます。
- 『勝てる本物のEA』なんて存在しない
- 短期的に利益大=長期的なリスク大
- 1つのEAではなく複数のEAでポートフォリオ運用がベスト
- FX自動売買はチームスポーツ、あなたは監督である
こんな感じ。
なお、当ブログでは無料・有料あわせて100以上のEAを紹介しています。
当たり前ですが、FX自動売買するには、EAが必要です。複数EAを購入すると十数万円かかってしまうので、初心者の方は無料EAサイトから始めてみるのが良いかなと思います。